2020S 試行1
2020-04-08
試行1の途中にいただいた質問等への回答を、このページの下のほうに書き込みました。
この日の録音ファイルの場所を、ITC-LMSに掲げています。
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開始直前のお知らせ
ITC-LMSには、ログインして、「法1」のページを開いておくとよいと思います。もちろん、このScrapboxのページも開いておく。ブラウザで、複数ページを開けますね?タブレットやスマホでは、複数ページを開いても同時には見えないかもしれませんが、切り替えができますね?万一わからないなら、それにも少しずつ慣れればよいと思います。
繋がらなくても、焦る必要はありません。録音等の方法で、後から様子を知ることはできるようにします。私が録音等に失敗したら、そのとき、善後策を考えます。
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事前の資料提供
できるなら事前に、下記をダウンロードして、なんとなく眺めておいてください。試行中に簡単な説明をします。(試行中にダウンロードするのでも十分に間に合いますよ。難しく考えずお気楽に。)
特定インフルエンザ等対策特別措置法の最初と最後
電子画面を見る時間を減らしたい学生は、自宅やコンビニで印刷しておくとよいでしょう。
参考)全体をみたいという人や、2upでないものがほしいという人のみ。
この日は、15分遅らせて、8:45から始めます。少し練習してみる、という内容です。10:15までギッシリ、というようなことは全く考えていません。また、この日の内容のうち、必要なことは、4月22日の正式第1回にも繰り返しお伝えします。
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筋書き
今日のオンライン授業は、この音声ストリーミングを聴いていただくのを基本とします。
(試行中はここにMixlrのURLを置いていた。)
Mixlrのアカウントがなくても、ブラウザで聴くことができます。
OFF-AIRになっていたら、リロードしてみてください。
オンライン授業中、「 ↓ 今このあたりです ↓ 」の赤いバナーを動かしていきます。時々動かすのを忘れるかも。
準備中
もし聞こえたら
この授業の目標
次の問題関心、次の法学科目、に進む時に必要となる最小限のリテラシーを身に付けるきっかけとなるような授業を目指します。
シラバスからのコピー
文科一類の学生が現代において法を学ぶための見晴らしを得るきっかけを、できるだけ幅広い範囲から提供することを目標とします。立法・行政・司法などのいずれかに偏ることなく広やかに、漠然とした知識だけでなく実際に具体的な文書等に接する経験も積み、また、外国との比較・交流・発信などの状況も紹介します。
1冊だけの教科書に頼ることはなく、随時、資料等を紹介して皆で読み解くなどして、少しずつ法学の資料・文献に慣れていただきたいと考えています。
自己紹介
法学部の一教員
競争法(独禁法)が専門
他の分野でも道案内はできる
今日の試行について
やること
いくつかのツールを試してみる
Zoomは取り敢えず見合わせる
全体で双方向であればいい
途中と最後の合計2回、コメント・質問の機会
10:15までギッシリ、というようなことは全く考えていません。
肩の力を抜いてください
心配ご無用
完璧は求めない
私も間違います
大学は、自分で勉強を進める空間。授業だけが大学ではない。
自分で調べるためのツール(例)を知る。
大学で契約しているデータベースも使える。後日、説明します。
誰でも使えるネット上の資料だけでも十分に豊富。
どれが信用でき、まず参照すべきか。
ScrapboxとITC-LMSを使う。UTASは以後使わない方向。
気をつけましょう
これまでにいただいた質問・回答について
今後も、質問の機会はいくらでもある。
今後は、口頭で答えるのを原則としたい。
今後の授業の進め方
進めながら考えていく
リアルタイムで参加できなかった場合
成績評価について
セメスター中
リアルタイムでの参加・貢献を成績評価において考慮することはありません。
何か中間的に課題提出をお願いする場合は事前に知らせます。
期末
まだわかりません。教養学部の方針も待つ必要があります。
いずれにしても、評価基準は、
授業で紹介していくものを出発点として、それぞれの学生が様々なものに触れて、習熟していくこと。その過程で、自然に覚えてしまうものがあるはず。その状況を、成績評価において見させていただく。すなわち、丸暗記は必要ない。慣れて、いつの間にか覚える、ということを、どれだけやったか。
ITC-LMSなどにおけるリアルタイムの質問等は成績評価の対象ではないが、積極的貢献をしていただければ嬉しい。それで初めてオンライン授業が充実する。質問等できるのが東京大学の学生であるメリットの一つ。
名前は読まない
法的な解説のお試し。テクニカルな説明。「法1」の全体がこのようなテクニカルなことばかり、というわけではありません。あくまで、デパ地下の試食のようなものです。
https://youtu.be/ytkLdDI9K68
これまでのことに関する質問・コメントをITC-LMS(またはメール)で送信
やはりITC-LMSが重くなっていますね
メールでも結構です
info_stjpアットmeドットcom
あとで言及することがあるかもしれませんが、名前は読みません。
9:50頃に再開
フォローアップセッション
ITC-LMSでいただいた質問・コメントに応えていく。ラジオ番組でハガキを読むイメージ(譬えが古い?)。名前は読まない。
フォローアップセッションを遅くとも10:05には終わる。時間がなくて読めなかった学生がいたら、ごめんなさい。あとでフォローします。
読んだ方は、ITC-LMSでの反応は省略させていただくかも。
2020-04-15の試行2について
ゲストの予定
白石がITC-LMSにアクセスできない状況です。
本日の全体(フォローアップセッションを含む)に関する質問・コメントをITC-LMS(またはメール)で送信
本日の試行は終了しました。ありがとうございました。(10:07くらいだったかな)
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いただいた質問・コメント等への回答
たくさんいただき、嬉しいです。
たまたま、私が拝見した順番で、後に拝見して、既に書いたな(下記)と思ったものは、特にコピーしていません。質問・コメント等をいただいて、ここに書いていないのは、
類似の他の質問に対して回答を書いた
音声で話した
質問者が自己解決をされた
などです。質問でないご感想にはここでは反応していませんが、有難く拝見しています。
録音
今日の試行の内容は後で聴けますか?
録音を確認して、後で、利用可能にするつもりですが、どこにアップロードするか等、少し考えさせてください。アップロードしたら、ScrapboxかITC-LMSでお知らせします。
ツール全般
zoomですと教授の画面共有で今回のyoutubeのようなペンを使った解説もリアルタイムで可能ですし、ビデオオフであればMixlrと同じ状態になります。zoomのチャット機能では先生個人宛に送信すると授業を受けながら全体には公開しないかたちでの質問もできます。複数のシステムを使うのでも特に問題はないのですが、scrapboxとzoomで基本的に完結させてくださったほうがありがたいです。
多面的に情報をいただき助かります。よく調べて次に臨むようにします。
ただ、実際問題として、Zoomを使うには他にも若干の問題があります。
引き続きいろいろなことが言われています。
通信容量の問題もあります。
大学のサーバが重い問題が解決できないと、場所もお知らせできないという問題も生じ得ます。
「法1」は数百名が参加する授業のため、弊害が出やすいともいえます。
したがって、もう暫く様子を見たいと考えています。
Mixlrの音声、YouTubeの動画、Scrapboxの表示からフルオープンなので、部外者による視聴もOKだという解釈でよろしいのでしょうか。
今後一般的に全てOKというわけではないので、その点をまずお願いします。それが前提で、
世の中から隠す必要を感じないものはオープンにやっています。そのほうが簡単で、選択肢も増えます。今後の振り分けは、さらに考えます。
録音ファイルの場所は、他の人には知らせないようにしてください。
Mixlr
Mixlrに入会する必要はありますか?
Mixlrのアカウントを作る必要はありません。聴くだけなら、アカウントなしで、ブラウザで、できると思います。コメントは、ITC-LMSかメールで結構です。
Mixlrの音声がたまにとまることがあるのですがログインして聴けるようにサインアップしたほうが良いでしょうか。
止まることがあることをお知らせくださりありがとうございました。多くの方は、スムーズに聴けたようです。致命的に困る状態でなければ、少しこのまま様子を見たいと思います。なお、分かりませんが、入会しても、症状は同じではないかと思います。入会せず、お気楽にご対応いただくので結構です。今後「法1」で使い続けるかどうかもわかりません。
Mixlrでの音量がイヤホンの場合かなり小さかったように感じます。スピーカーでは全く問題ないので、こちら側の問題である可能性も高いのですが・・
はい、こちらで確認できることは確認してみます。類似の声も複数いただきましたが、大多数の方はよく聞こえたようでもあります。
Scrapbox
↓今このあたりです↓のバナー表示やリンクなどの情報が、ページを更新しないと移動、表示されません。そのため現在のようにいつ更新なさったかを音声でご教示いただくことで助かっています。以降も更新についての情報を音声で流して頂けると幸いです。
お知らせくださり助かりました。
scrapboxで白石先生のページを見るにはitclmsのリンクから飛ぶ以外にはどうすればよいですか?
お手元のブラウザでブックマークしておくとか、様々な方法があります。
YouTubeの動画
解説動画に関しては、ページも言っていただけると印刷した資料を見ながら聴く際により分かりやすくなるかと思います。
貴重なご提案ありがとうございます。今後に活かします。
動画で用いていたメモ帳アプリは何でしょうか?
iPadのGoodNotesです。プレゼンをするとき使いやすいと思っています。いつも教室でGoodNotesを使って書き込み、それを映写しながら解説しています(コロナがなかった頃)。
Notabilityを勧める方もいらっしゃいます。Twitterで杉浦先生という弁護士の先生が強く勧めていらっしゃいます。私からみると、自分用の資料収集箱として、よいのでは、と思っています。プレゼン(板書)にはGoodNotesがいいと思っていますが、好みもあると思います。
動画の再生を何度も試行しましたが、エラーが出てしまい、再生することができませんでした。
他の方は閲覧できたようです。動画はYouTubeに上げていましたので、お手元でYouTubeをみることのできる状況にあるかどうかを確認してみてください。
ITC-LMS
今日の授業に全然関係ありませんが、先日のアンケートの提出をしたはずなのに、「未提出」扱いになっていました。どうやら僕の送った当日にITC-LMSに不具合が起こっていたようです(ログイン画面のお知らせより)。今後もこういうことがあると提出物が締め切りに間に合っていないことになるのではないかと不安です。確認はするようにしますが……
頭に入れておきます。
ITC-LMSで、前回のアンケート提出の際、確認画面に進むことができませんでした。そのような不具合が次も起こった時に有効な解決方法などはありますか?
ITC-LMSで、今週前半に出ていた症状が私の手元では出なくなりましたので、少しずつ改善していると思います。また送れなくなった場合は、メールなどがあり得ると思います。
ITC-LMSへの複数OS接続(PC・タブレット・携帯)が可能ですが、同時使用OKですか。
技術的に使えればよろしいのではないでしょうか。
「教員へのメッセージで聞こえているか教えてください」というのに答えるには、lms からこのような形で送るといることですか?あと、教授がlms でメッセージを送ってと伝えてから、とてもページが混雑して開ませんでした。だから遅れて送っています。
お手数、ご心配をおかけしてすみませんでした。どうもITC-LMSのサーバが混雑してしまうようですね。ストレスの少ない方法に向けて、少しずついろいろ調べてみようと思います。
法律等一般
まさにそのあたりが、試行中に申しました、「司法中心の法学教育では見過ごされがちな、しかし法という広い世界から見れば非常に重要な領域」なのです。これから少しずつ触れていきます。
一つの法律を読む順番は?
いま何を知りたいか、どれだけ時間を使えるか、によって違うと思います。例えば、今回の動画だけなら、私は、どことどこを見れば全体像がつかめるかを知っているので、ご覧いただいた1頁・2頁・32頁・33頁しか見ないと思います。もっと詳しく知る必要がある、時間もある、という時も、最初から全部読むということはせず、全体像をつかみ、重要なことが書いてありそうなところから読んでいくと思います。ただ、定義語がたくさんありますから、定義語の定義を知るために、随時、前のほうを見ます。その時は、e-Govの条文のほうが、検索しやすくて便利です。また、4/22以降に触れる機会があると思います。
第一条の二は、第一条と同じ並びにありますが、両者は同じ等級の条文と考えてよいのですか。第一条の中に組み込まなかったのはなぜでしょうか。
第1条の2と第1条は、同等の別の条です。たまたま、過去に書いたメモがありますので、それをご覧ください(枝番号)。4/22の正式開始後にも、少し触れることがあると思います。 第1条と第1条の2は、内容が全く異なりますので、別の条にしたのだと思います。
附則の第一条の二において、改正法の施行の日から起算して、二年を超えない範囲内において政令で定める日までの期間とありますが、改正法の施行から政令として制定するまでには手続きなどでそれなりの時間がかかるということなんでしょうか?
おっしゃるような事情で期間を定めることもあると思います。おっしゃる部分については、政府がみだりに緊急事態宣言を出さないように、歯止めをかける規定、ということになると思います。その政令は既に制定されており、資料33頁の末尾のものがそれです。(もし、令和3年1月31日が迫っても新型コロナウイルス問題がおさまっていない場合、あなたが政府関係者ならどうするか、考えてみてください。)
このようなある種法律の使いまわしのようなことはよくあることですか?条文の形式というか文の構成はある程度決まっているのですか?
よくあると思います。そのような場合の条文の形式は、ある程度決まっていると思いますが、皆がそこまで知らなくてもよいと思います。もちろん、興味があれば、あなたがその方向を調べてみるのとはとてもよいことです。
「芋づる式に」とおっしゃっていましたが、法律を読むときは、初めの条文から読んでいくというよりは見出し等を見て途中(重要そうな条文?)から読んでいくものなのでしょうか。
それは、その時に読者(あなた)が置かれた状態に応じて、いろいろですね。ただ、違う場所に大事なことが書いてあった、ということはあるので、本格的に取り組む場合は、よく検索したり、解説書を読んだりしながら読む必要があります。法学入門の最初からそういうハードルの高いことは申しません。
日本は緊急事態宣言を出すにあたってこの様に法律を改正する必要があり、緊急事態宣言を出すまでにかなりの時間がかかりましたが、迅速に対応できた海外の国々ではその様な必要はなかったのでしょうか?国のトップの権限で決めたりしているのでしょうか?
これを機会に外国のことをご自分で調べてみてください。その時、試行中に申しましたように、どこで調べれば信頼できるか、この情報は信頼できるか、を常に意識することが大事です。
法律は人間味がなくてとっつきにくいというイメージなのですが、法学を学ぶ意義とは何でしょうか。
人間社会をコントロール(悪い意味でなく)して良い方向に持っていく学問なので、十分に人間味があると思いますよ。これから少しずつ知見を広げてください。
「緊急事態宣言」は他の法律にもありますか?「みなす」は他の法律にもありますか?
市民の行動を制限する法的拘束力について度々話題になっていますが、それについてもまたご解説頂けますと非常に興味深いです。
はい。拘束力のないように見える法律でも、その国の国民の気質の違いで、拘束力のある国の法律と同じ結果が得られる、ということも論理的にはあり得ます。そのあたりが、法の面白いところです。また、何か機会があれば、触れるようにします。
みなす
テクニックの一つである「みなす」と、よく報道で耳にする「法の解釈を変える」との間に、違いはありますか?
「みなす」は、基本的に、法令の条文でそのように定めてしまう。「解釈」は、いろいろな意味にとることのできる既存の条文を特定の意味であると読み取る、ということですね。
「みなす」というのは法律内で用いられると一義的な意味を持つ法律用語ということになるのですか?ほかにこのような言葉はあるのでしょうか。
はい。他にもあると思いますが、「みなす」は、この意味で確定している代表的な例です。他のものは、そのうちいろいろ、出てくると思います。
「みなす」というのは、ただ単に文章の言葉を入れ替えるということとはどのような点で異なっていますか。それとも、全く同じなのでしょうか。
おっしゃることと同じことですね。「みなす」は、異なるものを、同じだということにする、ということなので、特別措置法の「新型インフルエンザ等」を「新型コロナウイルス感染症」と読み替えていくことになります。
コロナウイルスには平成24年に制定された新型インフルエンザ等対策特別措置法のこれまでの運用方法とは異なった独自の対策が必要になってくる可能性があると考えています。もし、単に文章の言葉を入れ替える場合、主語を差し替えるということになると思いますが、その際に述語部分の解釈も変えることは可能なのでしょうか。可能ならば、(法律家は)どのように考えるのでしょうか。 独自の対策を入れなかったのは、時間がなかった、ということもあるかもしれません。法改正に対する反対もありましたね。反対があるものは、通常、時間がかかる、ということを意味しますから、提案する側は、新たなものをなるべく付けずに最小限で乗り切ろう、と考える確率が高まります。
それで、次の可能性として、おっしゃるように、「解釈」ということがあり得ることになります。「解釈」がどこまで可能か、どのような方針で行う解釈なら許されるか、といったことを、まさに、法学で学んでいくことになります。
また、今回は法律を作る時間がなかったので、「みなす」という一種の大技を使って、平成24年の法律の枠組みだけにとどまるけれども、その範囲では全て使えるようにした、ということもできます。
(そうすると、法学入門として持つべき次の問題意識は、なぜ法律が必要なのか?というところになります。)
日本は緊急事態宣言を出したことで、今までの感染症対策とはどのように違った措置をとることができるようになったのですか。何か自粛要請を守らなかった場合の罰則を設けたりすることができるようになるのでしょうか。それとも法律上難しいのでしょうか。
罰則を設けるには、そのように法改正する必要があります。そうすると、そのような法案が国会を通るか(今回のような時間的制約の中で)、憲法はどうか、などの問題を考える必要が生じます。まさに法学・政治学の世界です。
緊急事態宣言の法追加で「みなす」という考え方が少し気になりました。 「みなす」という手法で法に追加すれば、良い面と悪い面の両方出て来ると思いました。良い面としては、新しく出てきた状況に迅速に対応できる事です。同様とみなすとすれば、それまであっ た問題への十分に考えられた対策をそのまま使えるからです。悪い面としては、二つは全く同じ事 はないので同じとみなして同じ対応をすればかえって混乱を招くこともあると思います。たとえば、 緊急事態宣言を出したら巨額のお金が使えるようになるというルールがもとからあれば、ワクチンのできているインフルエンザの時にはワクチンの大量生産にお金を使えば良いけど、ワクチンもなく治し方も分かっていないコロナに関してはお金の有効な使い方はないので、政府が使うコロナ対策のお金は無駄になります。このような両面を考慮して法を改正すべきだと思いました。
おっしゃるとおりです。もしそのような問題が生ずる場合で、法律を起草する側もわかっていて、それを避けようとすれば、「・・とみなす。ただし、oo条及びoo条を除く。」などと書くようにすると思います。
民主主義が防止機能を果たすとしても、選挙で過半数を取ってしまえば、何でもかんでもみなしてしまえる可能性が残っていませんか?
そのあたりも、法学部で学んでいただくことになります。選挙制度、憲法、などがキーワードですね。
「新型インフルエンザ」対策措置法と全く同じ条文で「新型コロナウイルス」に置き換えた法を制定することと、「みなす」と法改正することにはどのような違いがあるのでしょうか。
手間がかかるのと、提出者(内閣)がごまかして別のところを書き換えていないか、全文をチェックしなければならなくなりますね。
「新型コロナウイルス」を「新型インフルエンザ等」にみなせるのは「等」がついているからなのか、むしろ「等」がついていればみなしの作業は本来的には必要でないのか。
前半。「AをBとみなす」と法律で規定すれば、Bに「等」があってもなくても、みなすことは可能です。
後半の1。「等」という言葉は、ごまかしの手段として使われることもありますが、少なくとも法令では、ごまかしでなく、その法令において、それなりにきちんとした定義がされてます。なので、「等」があるから幅がある、と一般的に言えるのではなく、その、「等」のついた「新型インフルエンザ等」が具体的にどう定義されているか、をよく調べて読んでください、ということになります。
後半の2。そして、そこで出てくのが、「新型インフルエンザ等」の定義(2条1号)の解釈だ、ということになります(2条1号が感染症法6条9項に依拠しているので、感染症法6条9項の解釈、ということになります。)。それが、次のQ&Aです。 新型コロナウイルス感染症を、感染症法6条9項で定義する「新感染症」に含めると解釈するのでなく、新型インフルエンザ等感染症と「みな」す、で対応したのはなぜなのでしょうか?
おっしゃるように、「新型インフルエンザ等」を構成する感染症法6条9項の「新感染症」に該当すると解釈したうえで緊急事態宣言をする方法もあり得ますね。しかし、違う解釈もあり得ます。緊急事態宣言を出す可能性があると思う政府の側の立場に立って考えてみてください。もし、「新感染症」に該当するという解釈を根拠にして緊急事態宣言をした場合、例えば、コロナ問題がおさまったあと、休業を余儀なくされた事業者から裁判を起こされ、その解釈は間違っている、として損害賠償請求をされる可能性もありますね。法律を改正して、「みなす」としておけば、そのような主張をされる可能性を減らし、政府としては、法的なリスクを下げた状態で、緊急事態宣言を出すことができます。言い換えれば、「みなす」としたからといって、「新感染症には当たらない」と決めたのではなく、この法律を適用できるかどうかを争われる可能性を封じた、というところに意味があるのだと思います。 このあたりについては、政治的なものも含め、様々な主張があり得ると思います。私は、政治的な争いに立ち入るつもりはありません。純粋に法律の問題として、政治的にそれがいいと考えるかどうかとは別の問題として、例えば、以上のように法的に分析できるのではないか、ということを、ここでお答えしました。
「本来違うものを同じものとする」ということは、コロナウイルスはインフルエンザではないが、インフルエンザと同じとするという解釈で正しいのでしょうか。
はい。基本的には「本来違うものを同じものとする」という解説でいいですし、私も試行中にそのように解説しました。ただ、前のQ&Aを踏まえて厳密にいうと、「違うものや、違うとされる可能性のあるものについて、同じ扱いをする」というのが、さらによいかもしれません。
新型コロナウイルスに続き、仮に他の感染症が流行したとすれば、新型インフルエンザと同じような扱いになるのでしょうか。SARSの時などはどのような対応だったのでしょうか。
今後については、その時のいろいろな文脈で決まるでしょうね。今回についての上記の見方を参考にしてください。
SARSの時については、関心を持ったのをきっかけに、ご自分で調べてみると、一段上に進むことができると思います。
附則
附則とはなんですか
(たぶん)全ての法律に、本則と附則があります。附則も法律の条文であるという意味では本則と同等です。本則と附則は、大雑把にいうと、本則は永続的な内容(もちろん将来の改正や廃止はあり得る)、附則は一時的な内容、という色分けです。法律の施行日、今回の1条の2のように一時的な体裁のもの、改正にあわせて他の法律を改正する規定、などが附則に置かれます。
多くの場合は本則だけをみるので、いちいち「本則」と呼ばずに本則を議論しています。
今回の改正で、附則を置くのでなく、本則を改正する、ということはあり得たのでしょうか。
本則と附則については、上記Q&Aに書きました。
本則の「解釈」(ずっと上のQ&A)でなく、本則の「改正」ということは、新型コロナウイルス感染症が含まれることを明確化する、ということになりますね。
本則を改正して新型コロナウイルス感染症が含まれることを明確化しようとすると、そのような内容の一般的な条文を入れる必要があります。一般的な条文を書くのは、簡単ではありません。また、今回の改正は、政治的にも争点になっていましたね。そういった中で、一般的な条文を書いて国会を通せたか。新型コロナウイルス感染症は特定の一時的なものなので附則に似つかわしい、あるいは、附則で一時的なものに絞って具体的に書いたほうが国会を通しやすい、ということは、あったかもしれません。ただ、これは、今回の国会の様子にあまり詳しくない私の立場からの「あり得る見方の一つ」に過ぎません。もしご関心がおありなら、国会の議事録を調べてみるなどの方法が考えられます。
新型コロナに関する附則がいくつもありますが、何故一つにまとめられていないのでしょうか?単純に手続上の問題なのでしょうか?
授業の正式開始後に、少なくともヒントは、差し上げることになります。
もし、新しくこの法律が適用される感染症が発生した場合は、毎回附則を付け加えるということなのでしょうか。この附則が年々増えていくということですか?
そのときの状況次第ですが、少なくとも今回は、新型コロナウイルスの問題が現に起きてしまい、急ぐ必要があって時間がなかった、ということは言えると思います。今後、時間があるときにもっと一般的な法律を作るか、また次も同じように時間がない中で問題が起きてしまうのか、といったことで決まると思います。
法改正のほうが新たに法律を制定するよりも手続きが楽なのでしょうか?
法改正も、新たな制定も、法律を作るという意味では同じです。手続というより、今回の場合は、新しい法律を作る手間・時間があったかどうかかもしれません。
附則を置く場合と、前の天皇の退位の際の特例法のようなものを制定する場合と、はどのようにして使い分けますか。
附則も法律で、特例法も法律なので、形式的には同じことです。あとは、附則が肥大化しそうなら別の法律(特例法)にするとか、そうでなければ附則で済ませるとか、前の天皇の件の場合のように何か政治的な問題が関係したので特に一定の方法をとるとか、それぞれの事例(法制定・法改正の事例)に応じて様々な事情があり得ると思います。
PDF資料の別の箇所に関する質問
特別区を市とみなすのはなぜですか?(第73条)
「市及び特別区」と常に書くとか、「市及び特別区(以下「市等」という。)」として以下は「市等」と書くとか、様々な書き方が考えられます。その様々な書き方の中から、起草者が「特別区は、市とみなす。」を選んだ、ということだと思います。
今回、罰則が出るような事例は発生するのでしょうか?
罰則がついているのは55条3項だけですね(77条と78条は、どのような法律にもついている罰則です)。55条3項がどのようなものかを、見てみてください。「特定物資」という言葉は、また、この法律のどこかで定義されているはずです。(55条1項ですね。)
立入検査の権限は犯罪捜査のために認められたものと解すな、とわざわざ書いてあるのはなぜでしょう?
行政による立入検査について定めた全ての法律に同じことが書かれているはずです。行政による立入検査は、裁判所の令状が必要ないことになっているので、行政の立入検査で得た情報をもとに検察当局が起訴して刑罰を科すに至ると、憲法違反の可能性が高いからです(憲法の何条でしょう?)。独禁法でも出てくるので、私の独禁法の教科書にも書いてあります。
検察官の定年
検事長定年延長の閣議決定について、新聞を読むうちに問題意識を抱いておりますが、法学的視点で見た際の議論の論点を教えていただきたいです。また、その上でこの決定に関する先生のお考えを伺いたいです。
この問題は、政治色を抜いて、法学入門的にいうならば、「一般法と特別法」の問題です。「一般法と特別法」のよい題材ですので、多かれ少なかれ、言及することになると思います。あまり時間がないかもしれません。いずれにしても、これを機にご自分で調べてみてください。
法学と政治学
政治に興味を持ち、法学入門を受講しようかと考えるようになりました、大学に入ってから政治学も法学に「含まれて」いるということを初めて知りました。たしかに政治は法の定める枠組みで動いているというのはわかるのですが、どうも違和感が残ります。どの授業を聴講するかの参考のためにも、法学と政治学の関係について教えていただけると幸いです。
これは、身も蓋もないことをいうと、日本での学問の歴史とか、どことどこが仲が良くて一緒にやってきたか、という昔の状況の影響で、法学と政治学が一緒だったり、経済学が別だったり、しているだけであって、中身とは直接関係ないと思います。政治学より経済学のほうが近いと思う人もいるし、人文学や情報学、あるいは工学系や医学系が近いと思う人・分野もあると思います。
六法
2018年のポケット六法を既に所持しているのですが、この1年で新たに2020年度のものを購入する必要はありそうですか?本格的に勉強が始まる2021年は購入しないと支障がでますが、今年度に限って言えば流用してもそこまで問題がなさそうで・・・
紙の六法は買うべきかという記事を書きましたが、そこに書いた、買っておく効用は、一応は2018年のでも満たしますね。。2018年のには、民法改正(民法の債権法の部分の改正)は入っていますか?それで決めるのも一つの考え方だろうと思います。 法律学小辞典
紙の六法は買うべきかという記事がありましたが、生協で有斐閣「ポケット六法」とあわせて「法律学小辞典 第5版」の購入を勧める広告があったんですが、後者は必要でしょうか? お答えしにくい質問ですww
法学入門を終えて、例えば民法の勉強を自分でできるようになったら、民法の言葉は民法の教科書で解説されていると思います。
なので、法律学小辞典は、それより手前の段階や、あるいは、横断的な言葉(まさに例えば「みなす」とか)を調べる際などに、有効かもしれません
というわけで、私からは、買うべき、とも、そうでない、ともお答えしにくいです。
教員自己紹介
独占禁止法を専攻しようと考えたきっかけはなんですか?
そのうち何らかの形で話題にします。